AIの基礎知識を身につけ、自社製品への応用をめざします。三村 貴志様 インタビュー

  • オープンカレッジ

三村貴志様
2018年度 エンジニアのための人工知能基礎講座 受講者

すでにAIを活用した製品開発のご経験をお持ちでしたが、「基礎」を学ぶことでAI活用について幅広い視野を持つエンジニアになりたい、と受講いただいた三村さんに、講座修了後のインタビュー に応えていただきました。

——受講された「エンジニアのための人工知能基礎講座」を知られたきっかけや、選ばれた理由等を教えてください。

所属している会社が小さなベンチャーなんですけれども、様々なソフトウェアからハードウェアの開発までやっていて、常に新しい製品のネタといいますか、技術を追い求めています。その中で上司から、偶然こちらの講座を紹介してもらいました。

私もAIに関しては少しソフトを触ったことがありましたが、そのソフトがどういう理論で動いているのか、ということを理解せずに使っていたため、どう活用していくべきか、というところには繋りませんでした。

今回基礎講座があるということで、基礎の部分から学びAIをより知ることができて、製品に活用できるのではないかと考え、今回は受講させていただくことにしました。

——実際の講座はご自身のパソコンを持ってこられて、操作を先生に学ぶという形なのでしょうか。

いえ、大学の講義のような形でした。
毎回講師は変わるのですが、先生が実際にご自身で研究されている最新の研究の内容などもお話いただく、という形です。
私ももう少し表面に近い部分かなと思っていたのですが、大学でやるような偏微分ですとか、そういったお話も出てきまして。

——毎回講師が変わることで混乱はありませんでしたか?

毎回内容が区切れていて、「今回はこの内容」「次回は…」といってお話しいただいていましたので、影響はなかったと思います。

——数学的なアプローチということで、印象的な回はありましたか?

そうですね…基礎の部分が多かったですが。
ちょっとAIからは少し外れた話にはなりますが、カオス理論やファジーを学ぶ回がありました。受講を決めた当初は、それらについて想定はしておらず、理解も深くはありませんでした。
今回学んでみて、そういったところを知っていた方が、AIを有効に活用できることがわかりました。
AIを活用するにしても、AIだけではなくてそういった周辺理論や技術も理解しているエンジニアが、本当の意味でのAIエンジニアになっていけるのかなと感じました。

——受講前にご自身で情報収集して得ておられた情報と、講座で得られた情報との差はどのようなものだったのでしょうか?

従来はインターネットで調べることが中心でしたが、そうやって情報を得ていると製品にすぐ結び付きそうな、表面的な情報を追ってしまうことが多く、基礎が疎かになってしまう。
ソフトが動いても基礎が理解できていないので、応用が効かないといった状況に陥りがちだと感じました。自力で基礎を数学的な部分から学ぶというのも難しい話ですので。

——予備知識があり、その一線で働いていないと理解できない難しい内容だったのですか?

少なくとも大学で数学を学んでおかないと大変だったのではないかなと思います。

——講座名に「エンジニアのための」とありますもんね。

そうですね(笑)
2回目の授業からはいきなり計算式が出てきたので、受講される方は事前に大学の教科書などを読み返してみると分かりやすくなるのでは、と思います。



——他にもこのような講座で学ばれる機会は?

企業主催のセミナーには参加しています。ツールの使い方にフォーカスされている講座は他にもあるんです。ユーザーを増やすために簡単な使い方を教える基礎のセミナー等ですね。
今回のような基礎講座というのは、やはり大学さんが主催されている場じゃないと受けられないですね。

——それでは、三村さんのお仕事であるソフト・ハードウエアの開発に関わることもお聞きしたいのですが、御社ではどのような製品開発をめざされているのでしょうか。

社会インフラに大きく影響するような規模のものは、弊社の規模ではすぐには難しいと思っています。
まずはできる範囲の規模で、困っている人を助けられるようなものをイメージしています。
ユーザーから感謝の言葉をいただくとやる気にもなってきますし、社会貢献をしていけるようなものを作っていきたいなと思っています。

——具体的には何に困っている人に向けて作ったデバイスでしょうか?

弊社が現在提供している製品はキーボードの入力支援のデバイスで、パソコンでもフリック入力ができる、片手でも入力しやすいようにするというものです。
もともとは若者向けに作ったデバイスだったのですが、怪我や病気で片手が使えなくなってしまった方を支援できるものになっています。



例えば脳梗塞で片麻痺が残った方。その方が障害によって今まで築き上げてきた会社内での地位や成果を、入力作業ができなくなったことで失うのではなく、入力支援デバイスを利用して遅くはなってしまうけれども入力できますよ、というので職場復帰につながる、という形にはなっています。
他にも横になったまま文字入力したいとか、そもそもキーボードを机に置きたくない人とか。あとはパソコンで漫画を描く方とかですと、タブレットをデスクに置いて描いてらっしゃいますので、文字入れをする時にキーボードを取り出して、という手間をなくすために利用されている方もいらっしゃいます。

ただ、このデバイスにそのままAIを活用しようとすると、既に入力についてはスマートフォンの予測変換の方が優秀になってしまっているので、なかなか対抗するのは難しいところです。
かといって、キーボードだけでなく怪我や病気で体が不自由な方に対する入力支援デバイス、コミュニケーションデバイスを絡めさせられるチャンスはないかと常日頃から考えています。

全ての方に便利なデバイスというのは難しいですけど、ユーザーの声があれば取り入れて改良させていくつもりではあります。

——本日はありがとうございました

ありがとうございました。