多彩な専門家が後押し!心強いサポートの下、奮闘中です。吉田 優子様 インタビュー

  • STARTUP CAFE

吉田 優子
スタートアップカフェ大阪 利用者

株式会社アッテミー 代表
子育てをされながら2019年1月に経済産業省近畿経済産業局主催「LED関西」第5回ファイナリストとして「高校生の就職活動を多面的にサポートする」事業を紹介、サポーター賞(18社)とオーディエンス賞を受賞された吉田さんによるご紹介です。

——どういった経緯で「スタートアップカフェ大阪」の存在を知り、利用することになったのでしょうか?

私がスタートアップカフェを知ったのは、経済産業省主催の「LED関西」という女性起業家応援プログラムのエントリーがきっかけです。

——「スタートアップカフェに行ってみたらどう?」と薦められたのですか?

そうなんです!
LED関西にエントリーを決めた時に、LED関西を推薦してくださった方から「スタートアップカフェでエントリー内容のブラッシュアップの相談を受けてもらえるので、是非利用してみたらいいよ」と聞いて、まずは一度行ってみようと思いました。

——その頃には、ご自身のやりたい事業は決まっていたけれども、具体的にどうしたらいいかわからない、という状態だったのですか?

はい。「こういう世の中にしたい」とか「きっとこれで世の中が良くなる」と思っていたサービスのイメージが心の中にはありましたが、それをどうしたらより多くの人に知ってもらえるかなとか、実際に実現できるのだろうかと悩んでいました。

——吉田さんの目指す事業とは、具体的にどういったサービスだったのでしょうか。

私には「18歳の高校生の進路選択が豊かになるように」という思いがあり、高卒就職する高校生を受け入れる企業と、送り出す学校、そして生徒自身をこれまで6年間ほどサポートしてきました。
個人事業主の形で5年ほど動いていましたが、自分の中でこの事業をもっと大きくしたいという思いがあり、法人化を目指すタイミングでLED関西にエントリーし、スタートアップカフェ大阪を利用しはじめました。

——高校生と企業を繋ぐインターンシップということですよね。その事業をしようと思ったきっかけは、何だったのでしょうか。

そもそも私自身が高校生の時、偏差値に当てはめるだけの進路指導にすごくモヤッとした思いを感じていました。
でもすぐに起業を考えたわけではなく、社会人としてのスタートは楽天株式会社に勤めました。そこでネットショップのコンサルティングをしていたんですが、ネットショップを経営されている方と出会ううちに、学歴や働き方に関係なく人として尊敬できる、魅力的な方が多いと感じました。
その時に改めて「やっぱり偏差値に当てはめるだけの高校生の進路指導を変えたい」という思いが強くなり、たまたま飛び込んだのが大阪の公立高校で進路指導をする1年契約の仕事だったんです。
そこで出会ったのが高卒就職をする子たちで…高卒就職って、どのような形かご存知ですか?

——先生から就職の推薦があって決まっていく、というイメージです。実際は、どのような形なのですか?

ご存知ない方が多いのですが、今は毎年100万人高校3年生が卒業し、そのうち18万人が就職を選択していて、就職先の決め方は大学生のように一人で何社もエントリーシートを送って、複数回面接を受けてという方法をとる高校生はほとんど利用していなくて、いわゆる今おっしゃったような学校斡旋という方法で、一人一社しか応募書類が送れない中で活動しているんです。

——とても狭い選択肢の中で就職先が決まっていくのですね

そうなんです。

——その現状を変えたい、と。

変えたいです。
結局求人票が高校生のところへ来ても、やっぱり職業観・仕事のイメージがないので何を選んでいいのかわからない。
先生に何かいい就職先はと聞き、薦められた企業に入っていく。それで「思っていたものと違った」と言って、早々にみんな辞めていくんですよね。
それを解決するために、就職を前提とした職業体験の機会を企業にも高校生にも提供し、互いによく知り、考える機会を作りたいと思い、高校生のインターンシッププログラムを今やっています。


——懸け橋になろうとしておられるんですね。その事業を立ち上げる中で、スタートアップカフェを利用してどのようなメリットを感じましたか?

初めて相談に行った時はものすごく不安で。というのも、実は今回応募したLED関西に2年前に私、書類選考で落ちているんです。だから2度目のチャレンジでエントリーシートを持って行った時に、「もしかしたら、また駄目って言われるかもしれない」っていう、自分のしたいことをどう受け止められるか、という不安な思いだったんです。でも、初めてご相談したコーディネーターの方が「それ、面白い!」って笑顔で言って下さったんです。すごく嬉しくって。

それでここに来たら、自分の中でもがいていた思いが形になっていけるんじゃないかっていうのをすごく感じて、そこから頻繁に通うようになりました。
通っている中で、自分の中で熱い想いとして持っていたものが「どんな風に人に伝えたら共感してもらえるのか」とか「どういうビジネスの視点を加えると、より多くの人の支援が得られるのか」というアドバイスは、スタートアップカフェの方に沢山指導いただいて気付くことができました。

——自分のプランをより多くの人に理解してもらうための、「伝え方・見せ方」というのは、具体的には書類作成の仕方も教えてくださる、ということでしょうか。

事業計画シートの書き方もそうですし、今回のLED関西というビジネスプランコンテストではプレゼンの選考もありましたので、そのプレゼンのパワーポイントをどうしたらいいかとか、喋り方はどうかとか、見せ方・振る舞いは…というところも一つ一つ丁寧に、時には厳しく、アドバイスいただけました。

——LED関西のファイナルで、もう結果は?

出ました。ちょうど一週間前(取材時)がファイナルで。グランフロント大阪の地下1階のコンベンションホールで。500人の方が来てくださって、そこで5分間のピッチをさせてもらいました。もう、すごくいい経験をさせてもらいました!ファイナリスト10名いたんですけど、ありがたいことに最多で18社からサポーター賞をいただいて、一般来場者のオーディエンス賞もいただきました。

——やっぱりスタートアップカフェの効果もあったのでしょうか?

あったと思います。終わったあとに、「すごく共感します」とか「必要なビジネスだと思うので応援します」っていう声をいただいて、これだけ多くの人に5分っていう時間で共感して応援したいと思ってもらえたのは、ブラッシュアップで何度もスタートアップカフェに通って客観的にアドバイスをいただいたおかげだなぁと感じています。

——これから実際に吉田さんの事業の認知を高め、起業されていくにあたって、どのように計画されているのでしょうか。

これまで私が個人でやっていた、企業と高校生のインターンシップのマッチングを、WEB上でできるようなサイトの構築を目指しています。
プラン自体は多くの方に共感いただいても、実際にそれを作っていくという段階になった時に作り手であるSEの方やプログラマーの方の力が必要ですので、今後はそういう仲間を見つけていくことが課題かなと思っています。

——そういった仲間探しも、スタートアップカフェを利用して、と考えておられるんですか?

そうですね。こちらの関大の梅田キャンパスでいろんなイベントをやってらっしゃるので、スタートアップカフェやキャンパス内でのイベントに参加して、起業などに興味がある人とどんどん繋がっていけたらなと思っています。

——スタートアップカフェを利用して、プランナー・コーディネーターの中でこれは受けといて良かったなっていう相談や特に印象に残ったことはありますか?

リクルートのリボンモデルについて教えてくださった方がいて、今回の私のインターンシップのマッチングの仕組みはこのモデルに当てはまるよ、というので本を一冊勧めてくださった方がいました。
インターンシップを利用する高校生と、高校生を採用したいと思ってインターンシップを企画する企業とのマッチングをしていく仕組みを検討する際に、そのマッチングモデルを参考にして戦略を練ったほうがいいというアドバイスをいただいたのはすごく良かったです。
そのビジネスモデルに関する本もスタートアップカフェに置いてあって、これを読んだらいいよって言うのでその日その場で買って帰りました。それも書店を併設していることがメリットだなと思います。


——吉田さんは現在子育て中でいらっしゃる、とのこと。

子育てをしながらの起業ということで大変なことも多いと思いますが、それでも実現したい思いが強い、ということなんですね。

自分の子供が1歳と2歳なのですが、この子たちが18歳になった時に就職も進学も共に魅力的である社会を作っておきたいんです。
18歳で就職しても、その後のキャリアが学歴関係なく開けていくような社会を用意しておいてあげたい。どちらを選ぶ自由も私の子供たちが18の時には用意しておいてあげたい。
その思いで、大変なこともありますが進んでいきたいと思っています。

——今後、WEB上のマッチング以外にどのようなサポートを展開される予定ですか?

私はキャリアコンサルタントという国家資格を持っていて、高校進路指導室に常駐し、資格を活かして進路指導にあたってきた経験があります。
でも、行政の予算では資格を持った人材の雇用が続かず、先生も多忙な中で進路のスペシャリストになることも簡単ではない状況を何度も見てきました。
そんな現場を見てきたからこそ、なんとか進路の専門家を学校の中で育てたいという思いがあり、インターンシップを受け入れたいという企業の採用予算から生徒の通う学校に進路指導ができるサポーターを派遣し、学校で勤務が続けられるようにする仕組みをつくっています。


——高校生に直接ではなく学校を介して、という方が良いという考えがあったのでしょうか?

生徒一人一人にアプローチする必要もあるとは思っていますが、学校の中で先生と一緒に就職指導していると、「生徒に職業観を養わせるためにインターンシップに行かせたいんだけど、どこが受け入れてくれているのか分からない」とか、「なかなか企業を探す手間が取れない」という先生の思いを受け取ることが多くて。
企業も良い人を採用したいので、高校生と直接接点を持ちたいというニーズがあって。
高校生自身もあまり良く知らずに「高卒で働く仕事って面白くないんでしょ?」ってみんな言うんですよね。

まずは行ってみて、魅力的な社会人や企業に出会うことで、例えば進学の目的も明確になると思うので、就職の子だけじゃなくて高校生全員が目的を持った進路選択に結びつくきっかけになればいいなと思っています。

——最後にこれから起業する、例えば同じ女性のママさん起業家、スタートアップカフェに行こうか迷っている方に、一言アドバイスをお願いします。

まずは自分の思いを人に伝えることが、全てのスタートになるんだなって思いました。自分の「やりたい」「こうしていきたい」という思いを伝えることで、「こうやったらできるよ」っていうアドバイスが、スタートアップカフェやLED関西など、アドバイスしてくださる人が現れて、どんどん応援してくださる方が増えていく。それを今まさに実感しています。

やっぱり女性って着実にやっていきたいというか、皆さんに「良い」って言ってもらえない内は思いを秘めて不安になることも多いと思うんですけど、スタートアップカフェの皆さんはそんな女性の気持ちをすごく分かってくださっていて、気持ちを認めて一緒にどうやっていったら実現できるのか、それを考えてくださる方ばかりなので、まずはここに来てその抱えている思いを伝えてもらえたら、きっと私みたいに「できる」って、「やっていけるぞ」って思えるようになるんじゃないかなと思います。

——どうもありがとうございました。

ありがとうございました。